Stable Diffusionの販売規約を確認するには|モデル名とライセンスを対応させる

Stable Diffusion画像の販売前には、使ったモデル名とバージョンをライセンスに対応させて確認してください。商用利用の案内があっても、追加モデル、生成サービス、販売先まで同じ条件とは限りません。

AIイラストや背景素材の販売を考える人に向けて、公式資料を探す順番と、確認結果の残し方を整理します。特定モデルの販売可否を一括で決める記事ではなく、自分の制作条件で何を確かめるかを示すチェックリストです。

使ったモデルの特定

モデル名とバージョンの記録

Stable Diffusionで作った画像を販売できるかは、使ったモデルと、その利用に適用される条件から確認します。「Stable Diffusionならすべて同じ規約」とは考えないでください。モデルの利用、生成画像の販売、モデルファイルの再配布は確認する対象が異なります。

最初に、生成に使ったCheckpointの正式名、バージョン、配布ページを記録します。Checkpointは画像生成の基になるモデルのデータです。ダウンロード時のファイル名だけでなく、配布者とモデルの説明欄も対応させてください。別のモデルに切り替えた画像は、同じ販売予定に含まれていても分けて確認します。

公式の対象モデル一覧

Stability AIのCore Models一覧は、CommunityまたはEnterpriseの利用者が、それぞれの契約条件に従って商用利用する対象モデルを示しています。確認時点ではStable Diffusion 3.5 Medium、Large、Large Turboなどが掲載されています。[1]

一方、一覧にないStability AIのモデルには、各モデルのライセンスが適用されると説明されています。「SDXL」という通称が同じでも、SDXL Turboの掲載を別のバージョンの許可と読み替えることはできません。一覧にないことだけで販売禁止と決めず、使ったモデル自体の条件へ進みます。[1]

ライセンスで確認する条件

商用利用の対象と利用者の条件

公式のライセンス案内はモデルを自分の環境で使うためのCommunityとEnterpriseを紹介しています。[2] 公開Community License AgreementのIIIには、商用目的でモデル等を利用・配布する場合、Stability AIへの登録が必要と書かれています。無料という案内だけで、手続きや条件がないとは判断しないでください。[3]

同じIIIでは、利用者または関係会社の年商が、単独または合計で100万USドルを超えた時点で、この契約のライセンスが終了すると定めています。収益がモデルから直接・間接に生じたかは問わない記載です。画像販売分の売上だけを数える説明ではありません。[3]

ただし、この金額をすべてのStable Diffusionモデルに共通する基準として使わないでください。適用される契約とモデルを先に合わせます。案内には「年商100万ドル未満」との表現もあり、境目や関係会社の集計について判断が必要なら、本文を示してStability AIへ確認します。[2][3]

生成画像とモデルの配布

販売する商品が画像ファイルなのか、モデルのデータなのかを先に書き出してください。公開Community LicenseのIV(c)(iii)は、利用者とStability AIの間では、適用法が認める範囲で利用者が生成物を所有すると記載しています。他人の権利を侵害しないことや、どこでも販売できることの保証ではありません。[3]

同契約のVでは生成物をDerivative Worksの定義から除いています。一方、モデルや派生モデル等の配布・提供、またはそれらを使う製品・サービスには、IV(a)で契約書の提供、Noticeの保持、「Powered by Stability AI」の表示などの条件を定めています。画像の販売とモデルの再配布を同じ扱いにせず、自分の提供方法にどの条項が当たるかを確認します。[3]

さらに、IV(b)の利用制限は生成物にも及び、法令、文書、Acceptable Use Policyへの適合を求めています。[3] 所有についての一文だけで制限がなくなるとは判断しません。この記事は個別モデルや作品の販売許可を判定するものではありません。

追加モデルと生成サービス

CheckpointとLoRAの組み合わせ

追加のLoRAなどを使った場合は、Checkpointと別の行に記録すると確認漏れを減らせます。LoRAはモデルに追加して使う調整用のデータです。配布ページにライセンスや商用利用の説明があるかを確かめ、確認できた条件をそれぞれのモデルに結び付けて残してください。

「元モデルは商用利用向けだから、組み合わせも同じ」とは判断せず、追加データの説明も読みます。作者の利用条件と、元モデルについての説明が食い違って見える場合は、その箇所を保存して確認します。意味が分からない条件を、販売可能という結論に置き換えないでください。

ブラウザ上のサービスの規約

ブラウザで画像を生成するサービスを使った場合は、モデルのライセンスに加えて、利用したサービスの規約を確認します。サービス名、契約プラン、生成した日、画像をどのように使う予定かを記録すると、後から条件を探し直せます。

手元でモデルを動かす場合の案内を、外部サービスの契約へそのまま当てはめないようにします。反対に、あるサービスの有料プランの説明も、同じ名前のモデルを別の環境で使う許可の証拠にはなりません。使い方と契約先を区別して読みます。

販売前の確認メモ

モデルごとに残す項目

次の表は自分の確認結果を書き込むためのひな型です。特定のモデルが販売可能と確認された一覧ではありません。画像ごとに使ったモデルの組み合わせを追えるようにし、規約のURLだけでなく確認日と該当する文章も控えます。

確認する対象記録する内容
Checkpoint正式名、バージョン、配布元、適用ライセンス
追加のLoRA等名称、配布元、商用利用などの条件
利用方法手元での生成か、サービス経由か
販売予定完成画像の販売、受託の納品などの具体的な用途
判断の根拠確認日、URL、該当箇所、未解決の質問

架空の商品で確認する例

たとえば、架空の背景画像セットを販売するとします。使ったCheckpointとLoRA、生成サービスの有無を先にそろえ、画像ファイルだけを販売する予定と記録します。そのうえで、それぞれの条件がこの使い方に対応するかを確認します。これは手順の例であり、実際に販売した結果や収益の実績ではありません。

条件が不明なLoRAが一つ残った場合は、確認が済んだ他のモデルの説明で埋めないでください。不明な追加データを使わない案を検討することと、元の組み合わせの許可を得たことは別です。使用するデータを変えたなら、その組み合わせで確認メモも作り直します。

作品と販売先の確認

利用条件と作品の権利

モデルの利用条件を読んだことだけで、完成画像に関するすべての権利問題が解消したとは扱いません。参照画像、既存キャラクター、ロゴ、実在人物などを使っている場合は、作品に何を含めたかを別に確認します。画像を入力したなら、その画像を使う権限も確認対象です。

不明な点は「商用利用できるか」という一問にまとめるより、対象と用途を示して相談すると論点を分けやすくなります。たとえば特定のロゴを含む画像を商品にする場合、そのロゴの扱いはモデルの契約だけからは決められません。判断が必要なら、権利者や専門家に具体的な作品を示して確認してください。

販売先の規則と更新の確認

販売予定のサイトについてもAI生成物を出品できるか、表示が必要か、禁止される商品や表現がないかを、その販売先の最新ルールで確認します。モデルの利用条件と販売先の出品条件は別々に記録してください。

販売を始める前には、モデル名とバージョン、利用方法、予定する商品がメモと一致しているかを見直します。公式のCore Models一覧も変更される場合があると説明されています。[1] 規約やモデルを更新したときは、以前の確認だけを使い回さず、変更した対象を改めて確かめます。

参考資料

[1] Stability AI:Core Models。対象モデルと、一覧にないモデルに関する案内。

[2] Stability AI:License。CommunityとEnterpriseの公開案内。取得できた範囲のみ参照。

[3] Stability AI:Community License Agreement。公開本文の最終更新表示は2024年7月5日。III、IV(a)・(b)・(c)、Vを参照。

資料確認日:2026年11月1日。公開Community License本文と対象一覧を確認した手順の整理です。認証が必要な個別モデルの契約画面、個別作品の権利、販売先の審査、実際の販売は検証していません。利用時は自分のモデルに適用される契約のバージョンを確認してください。

著者について

松本大輔

Re-BIRTH株式会社 代表取締役社長。

著書