生成AI副業は会社員でもバレない?始める前の就業規則と情報公開の確認

生成AIを使う副業でも、勤務先に知られないとは保証できません。始める前に就業規則と届出の条件、使える情報や道具、外部へ公開する内容を確認してください。仮名や非公開の設定だけで、勤務先との約束や必要な手続を省けるとは考えません。

会社員が副業を検討するときは、学習や見本づくりと、依頼を受けて働く段階を分けます。この記事は受注前の確認を整理するための案内です。会社に知られずに働いた体験や、特定の申告方法の効果を検証したものではありません。

勤務先の副業ルール

自社の規定と届出の条件

就業規則、雇用契約、社内の副業・兼業案内を読みます。「副業は可能」という案内があっても、対象になる仕事、届出の時期、作業する時間、取引先などに条件がないかを確かめてください。過去に別の人が認められたことだけで、自分の予定も同じ扱いになるとは決めません。

厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」やモデル就業規則を公開しています。[1] ただし、モデル就業規則と、勤務先が実際に採用している規定は同じとは限りません。国の案内を読んだことを、自社で必要な申請が済んだことと取り違えないようにします。

規定の場所が分からなければ、人事や労務など社内の指定窓口に聞きます。制度の説明を受けること、申請書を出すこと、予定した仕事が認められることは別の段階です。どこまで進んだかが分かるよう、回答と提出物を残してください。

契約の形と実際の作業

別の会社で雇われる仕事と、成果物を納める業務委託では、契約や作業時間について確認する内容が異なります。「AIの副業」という呼び方だけで説明を終えず、文章の構成、本文の作成、校正、入稿のどこを担当する予定かを伝えます。

契約の形や取引先が未定なら、そのまま相談してください。回答を得るために架空の契約先を作る必要はありません。準備段階で聞けることと、案件が決まってから提出することを分ければ、受注の前に確認を済ませる手順を考えられます。

会社と副業で使うもの

入力する資料と利用の許可

勤務先の顧客情報、社内資料、未公開の企画を、副業の見本や生成AIへの入力へ流用しないでください。名前を伏せたり、一部を書き換えたりしただけで、外へ出してよい資料になるとは決められません。

依頼者から受け取る情報にも確認が必要です。文章の整理を頼まれたことだけで、その全文を任意のAIサービスへ送ってよいとは考えません。AIを使える工程、入力してよい情報、使うサービスを、依頼条件と照合します。許可の範囲が分からない資料は、入力する前に依頼者へ聞いてください。

練習では自分で作った架空の商品説明や、利用条件を確かめた公開情報を使う方法があります。見本には架空例と明記し、勤務先の案件や自分の納品実績のように見せません。公開情報であっても、文章や画像を無条件に転載してよいとは判断しないようにします。

端末と保存先の使い分け

勤務先の端末や有料アカウントは普段使っていることと、副業に使えることを分けて確認します。個人の端末を用意した場合も、会社の資料を移してよいという意味にはなりません。何の資料をどの端末やサービスで扱うかが確認の対象です。

たとえば架空の見本を作るなら、入力文、AIの初稿、人が直した最終版を個人の作業用の保存先で区別します。これは整理方法の例で、特定の保存サービスの安全性を検証したものではありません。共有するときは送るファイルを開き、別の案件の情報や不要なコメントが含まれていないかを確かめます。

名前や実績を公開する場面

プロフィールと実績の掲載

活動を外部へ知らせる場面には、出品サービスのプロフィール、SNS、ポートフォリオなどがあります。名前だけでなく、所属、経歴、担当した内容、公開する相手も確認してください。複数のページへ載せるなら、それぞれに何を書いたかを見返せるようにします。

仮名を使えば勤務先に知られない、公開範囲を限定すれば確認は要らない、といった保証はできません。個人の公開名を決めることと、契約先やサービスに必要な本人情報を正しく伝えることも別です。各サービスの登録条件を読み、必要な情報を偽って入力しないでください。

依頼者の仕事を実績として紹介する場合は、掲載できる内容、時期、依頼者名の扱いを依頼者に確認します。会社の副業ルールを確認できても、それだけで依頼者の原稿を公開してよいことにはなりません。許可を受けた原稿と、公開する画像や紹介文が同じ範囲に収まっているかも見ます。

税の手続と公開設定

税の手続はSNSの公開設定とは分けて確認します。国税庁の「給与所得者で確定申告が必要な人」は、給与所得者でも条件によって所得税の確定申告が必要になることを説明しています。[2] 自分が受け取るのが給与か、それ以外の仕事の報酬かも含め、該当する案内を読んでください。

売上や入金の記録を残し、どの仕事で受け取り、どの費用を支払ったかを整理しておくと、窓口へ相談するときに状況を説明できます。本稿は所得の区分や経費の扱いを個別に判断するものではありません。迷う場合は税務署や税理士へ確認してください。

住民税の申告や徴収方法は、住所地の市区町村の案内で確かめます。「特定の欄を選べば勤務先に絶対知られない」という案内はしません。所得税の確認、住民税の確認、勤務先への届出を、それぞれの窓口で進めてください。

社内窓口への相談例

予定を伝える文例

次は相談内容を整理するための架空の文例です。勤務先の指定様式がある場合は、その様式に従ってください。

生成AIを補助に使う文章作成の業務委託を検討しています。勤務時間外に個人の端末で行い、会社の資料や顧客情報は使わない予定です。受注前に必要な申請・届出と、業務内容や取引先に関する確認事項を教えてください。契約先はまだ決まっていません。

これは申請が認められた実例ではありません。予定していない作業を加えたり、まだ決まっていない条件を確定したように書いたりせず、自分の状況に合わせます。相談文を送った後も、回答に沿った提出や確認が残っていないかを見てください。

回答と未確認の記録

回答を受けたら、説明された条件と、自分の予定を並べます。以下は記録する項目の例で、実際の会社から得た回答ではありません。

確認する項目残す内容
届出や申請提出先、使う様式、提出する時期、現在の手続の状態
作業の範囲担当する工程、使う道具、入力する資料の条件
作業する時間本業の予定と重ならないか、作業量の変更時に何を伝えるか
公開する内容名前、所属、実績の掲載に関する確認先と条件
変更があった場合取引先や担当業務が変わるときの相談先

記録には確認した日と窓口、参照した規定も添えます。答えのない項目を自分で「問題なし」と埋めないでください。口頭の説明で分かりにくい点が残れば、内容を短くまとめて、文章で確認できる案内があるか聞いてみます。

受注前に決めること

本業と休息を含めた予定

副業を続けられるかは勤務先のルールに加え、本業や休息との両立も考えて判断します。厚生労働省は副業・兼業時の労働時間や健康管理に関する資料も公開しています。[1] 契約の形による違いがあるため、すべての仕事に同じ時間計算や手続きを当てはめないようにしてください。

AIで本文を作る時間だけでなく、資料の確認、依頼者との連絡、修正、納品形式への整理も予定に入れます。短い生成時間だけを根拠に、多くの案件を受けないでください。必要な確認を含めた作業量が分からなければ、まず架空の見本を作り、何に時間がかかったかを記録する方法があります。

条件が変わったときの確認

勤務先の回答と依頼条件がそろったら、受ける業務、使う情報、作業時間、名前や実績の公開範囲を具体的に決めます。合意後に取引先、作業内容、使うサービスが変わった場合は、以前の回答がそのまま当てはまるかを確認してください。

受注へ進めるかは知られないという予想ではなく確認できた条件に沿って判断します。不明点が残る案件はその項目と確認先を残し、条件がはっきりするまで引き受ける範囲を広げないようにします。

参照資料

[1] 厚生労働省:副業・兼業。ガイドライン、モデル就業規則、労働時間や健康管理に関する資料への案内を参照。

[2] 国税庁:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人。給与所得者に関する所得税の申告条件を参照。

資料確認日:2026年11月1日。個別企業の規定、申請結果、税額、勤務先への通知の有無を確認した記事ではありません。相談文と確認表は本稿が説明用に作った例です。

著者について

松本大輔

Re-BIRTH株式会社 代表取締役社長。

著書