ChatGPTのキャッチコピーで仕事をするには|依頼の聞き方と候補の納品手順

ChatGPTでキャッチコピー制作の仕事を準備するなら、用途・事実・制約を依頼票にまとめ、候補と選ぶ理由をセットで渡す形を作ります。言葉を生成するだけでなく、依頼者が使う場所に合うかを確かめ、修正と納品の範囲まで決める作業です。

以下では架空の「文書整理サービス」の紹介文を作ります。依頼票と候補は説明用の作例で、実在する受注、筆者の顧客実績、記事中の依頼文をChatGPTで実行した回答ではありません。受注や収益を保証する手順でもありません。

仕事の範囲と依頼票を決める

用途と対象外をそろえる

最初に決めるのは、何に使う何文字のコピーかです。商品名、会社名、広告見出し、サービス紹介の短文では、依頼者が判断する点が違います。ここではサービス紹介ページの冒頭用の短文を扱い、商標の命名や販売ページ全体の執筆は含めません。

作例では、原稿1本から見出し案1セットと配置理由を返すサービスを想定します。原稿、対象読者、原稿の目的を確認する一方、新規取材・本文執筆・売上保証は対象外です。これは今回の架空設定で、自分のサービスの実績として転記するものではありません。

記入済みの依頼票を用意する

依頼票には決まった内容と確認待ちの内容を別々に記入します。今回の記入例は次のとおりです。制作条件も説明用に置いたもので、実際の受注条件ではありません。

項目今回の記入例確認する相手
用途・媒体サービス紹介ページ冒頭の短文依頼者
読む人社内文書を整える担当者。編集上の想定依頼者
伝える内容原稿から見出し案と配置理由を返すサービスの責任者
表現の条件3案、1案20文字以内、落ち着いた語調依頼者
制作費・日程未確認。金額、支払条件、納期、検収期限を確認する発注担当者
修正・利用修正範囲、利用媒体、AI使用可否、公開責任者は未確認依頼者と公開責任者

媒体が決まらないまま案を増やすと、文字数や見せ方も決められません。依頼者へ「今回は紹介ページの冒頭用で、広告や会社名には使わないという理解で合っていますか」と聞き、返事を依頼票へ残します。

ChatGPTへ渡す材料と依頼文

事実・希望・未確認を分ける

AIへ渡すのは、使用を認められた事実と制作上の希望です。提供内容をA、語調や文字数の希望をP、未確認の条件をUと分けると、希望を商品の特徴へすり替えずに依頼できます。「落ち着いた表現にしたい」は希望であり、利用者が安心したという実績ではありません。

組織の入力ルールを確認し、秘密情報、顧客名、未公開企画、他者の案を無断で外部AIへ送らないでください。公開用の商品説明だけで作れる範囲を先に検討します。情報が足りない場合は、推測で補うより依頼者へ戻す質問を作ります。

具体的な材料を入れて候補を頼む

依頼文は作業、材料、出力形式を分けて書きます。OpenAIのAPI向け解説は、指示を先頭に置き、入力を区切り、望む形式を具体的に示す方法を案内しています。その助言を構成に応用した、今回の入力済み見本です。

次の架空サービスの紹介ページ冒頭用に、短文を3案作ってください。
1案20文字以内。句読点も数え、落ち着いた語調にしてください。

### 材料
A1:原稿1本から見出し案1セットと配置理由を返す。
A2:原稿、対象読者、原稿の目的を確認する。
A3:新規取材、本文執筆、売上保証は含めない。
P:読む人は社内文書を整える担当者。紹介ページの冒頭で使う想定。
U:制作費、納期、修正範囲、利用条件は未確認。

### 出力
候補/文字数/伝える意図/対応するA番号/確認待ち。
売上、時短、推薦、人数、他社比較など、材料にない主張は加えない。
不明な事実が必要なら、案に混ぜず確認質問にする。

自分の案件では、Aの提供内容、Pの媒体と読者、Uの不足をすべて差し替えます。文字数はAIの自己申告だけで採用せず、人が実際の文字列を数えて確認してください。上の依頼文を実行した性能や販売効果は測定していません。

候補を理由付きで比較する

3案を同じ条件で並べる

候補はコピーだけを並べず、文字数、伝える意図、根拠を添えて渡します。以下は同じ架空サービスで作った説明用の比較表です。採用された文や、実際の依頼者へ納品したものではありません。

候補文字数意図材料
原稿の要点を、見出しへ。12字返すものを短く示す。提供物を先に知らせる案A1
見出しと、その理由を一緒に。14字見出し案だけでなく配置理由も返す点を示す案A1
伝えたいことから、見出しを整える。17字原稿の目的を確認してから整える流れを示す案A2

同じ20文字以内でも、1案目は提供物、2案目は理由も返す点、3案目は目的を聞く作業を前に出しています。どの案も売上や作業時間の改善を約束していません。番号を付けただけで十分とはせず、その材料がコピーの意味を支えるかを読み比べます。

好みを選定の質問へ変える

選ぶ基準は依頼票で決めた用途です。「一番よさそうな案」をAIへ聞くより、依頼者へ「返すものを先に伝えたいですか。それとも、配置理由も受け取れる点を伝えたいですか」と尋ねると、候補の違いを話せます。

読者が提供物を知らないなら1案目、見出し案だけの提供と区別したいなら2案目、と採用理由を仮置きできます。ただし、これは編集上の選定案です。反応が高い案を実験で確認したことにはなりません。ページ全体で読んだときに意味が重複しないかも確認します。

修正と追加の依頼を分ける

根拠のない効果は提供内容へ戻す

根拠のない効果が入った候補は、その効果を外して提供内容へ戻します。たとえば「売上を伸ばす見出しへ」という案は、見出し案を返すA1からは説明できません。「売上につながるかもしれない」と弱めても、資料の不足は同じです。

修正前「売上を伸ばす見出しへ」→修正後「見出しと、その理由を一緒に。」。AIへの指示も「この候補の売上への言及を外し、A1の提供物だけで表現してください」と対象を限定します。創作された利用者の声や推薦も、表現を整えて残さず外します。

消費者庁の「表示規制の概要」は、一般消費者向けの内容や取引条件に関する不当表示を説明しています。ここでは主張と材料を照合する際の参考にし、この架空例や個別のB2B取引の適法性を判定する資料にはしません。

曖昧な要望を変更箇所へ直す

「もっと魅力的に」という要望は、何を変えるかに直して確認します。作例なら「2案目を基に、見出し案だけでなく配置理由も返す点が伝わる形にする。20文字以内は維持する」のように、残す案、変更点、制約をそろえます。

紹介ページ用から広告用への変更、対象読者の変更、別商品の追加は、単なる言葉の修正とは分けます。元の依頼との差を書き、対応範囲、日程、費用への影響を依頼者と確認してから進めます。修正回数や無料対応の範囲を、AIや制作側だけで決めません。

納品物と確認の担当をそろえる

制作条件を記録で合意する

制作を引き受ける前には、渡すもの、報酬、日程、修正、利用条件を記録で確かめます。公正取引委員会の特設サイトは、対象となる業務委託で、給付内容、報酬額、支払期日などの取引条件を書面または電磁的方法で明示することを説明しています。

同サイトは対象事業者の条件や、発注側・委託期間による義務の違いも示しています。この依頼票だけで法的な明示事項をすべて満たすとは扱いません。個別契約への適用は当事者と取引の条件を確認し、判断が必要なら専門家へ相談してください。

そのまま確認できる形で渡す

納品時は、候補と理由、未確認事項、依頼者が判断する点を一緒に渡します。作例の2案目を選定候補とするなら、受渡しメモは次のように書けます。実際の採用が済んだという記録ではありません。

項目受渡しメモの記入例
対象紹介ページ冒頭用、候補3案と各案の意図
選定候補「見出しと、その理由を一緒に。」。A1の提供物を説明
確認待ち制作費・日程・修正範囲・AI利用と公開条件は未合意
依頼者への確認配置理由も返す点を前に出すか、実際の掲載箇所に収まるか
公開前の担当商品事実、利用条件、似た既存表現の確認担当を依頼者と決める

未合意事項を消して「このまま公開できます」と渡さないでください。候補を送った日、採用の連絡、検収、支払い、実際の公開は別々の出来事です。実際に起きた段階だけを記録し、送信を入金や成果の証拠にしません。

次の依頼へ残す記録

次に残すのは、案の数だけではなく、依頼票の版、変更した条件、修正前後、依頼者が選んだ理由です。たとえば媒体が途中で変わったなら、次の依頼票では最初に掲載箇所を見せてもらう質問を加えます。未確認だった料金や利用条件は、確認できた内容と相手、日付を追記してください。

受注実績として紹介する段階では、実際の受注・納品の記録と、公開してよい範囲を確認します。制作した案があることだけで、顧客実績や売上効果があったとは書きません。

参考資料:公正取引委員会「フリーランス法の特設サイト」(2026年11月1日確認)、OpenAI「Best practices for prompt engineering with the OpenAI API」、消費者庁「表示規制の概要」(後2件は2026年10月31日確認)。記事中の依頼文の実行、受注、商標・著作権調査、収益・広告効果の検証は未実施です。

著者について

松本大輔

Re-BIRTH株式会社 代表取締役社長。

著書