WordPressサイトをAMP化する具体的な手順から、エラー解決方法、検証ツールの使い方まで完全解説。初心者でも迷わずAMP設定ができる実践的なガイドです。プラグイン使用から手動実装まで幅広くカバー。
私が初めてAMPの存在を知ったのは、競合サイトの表示速度があまりにも速いことに驚いたときでした。その瞬間、「これは何かが違う」と直感し、調べてみるとAMP(Accelerated Mobile Pages)という技術だったのです。
AMPを導入したWebサイトでは、導入していないWebサイトの4倍の速度でWebページが表示されるという事実を知ったとき、正直なところ半信半疑でした。しかし、実際に導入してみると、その効果は想像以上でした。
今回は、私が実際に複数のサイトでAMP設定を行った経験を基に、2025年最新の情報と共に、初心者でも確実にAMP設定ができる完全ガイドをお届けします。
AMPとは?基本概念の理解
AMPの仕組みと重要性
AMP(Accelerated Mobile Pages)とは、Googleによって開発されたWebページを高速で読み込む技術です。
私が最初にAMPの概念を理解するのに苦労したのは、その仕組みの特殊性でした。通常のWebページとは異なり、AMPはWebページのHTMLを事前にGoogleやX(旧Twitter)がキャッシュしたページを表示する仕組みとなっています。
AMPの3つの核心技術:
技術要素 | 役割 | 特徴 |
---|---|---|
AMP HTML | 高速化されたHTML | 制限された軽量なHTML |
AMP JS | JavaScriptライブラリ | 非同期読み込み専用 |
AMP Cache | キャッシュシステム | GoogleやTwitterによる配信 |
2025年現在のAMP状況
正直に言うと、AMPを取り巻く状況は複雑になっています。2021年6月にGoogleがトップニュースカルーセルへの優遇掲載を終了宣言して以降、Twitterやアメブロなどの有力メディアはAMPのサポートを終了しました。
しかし、それでも多くの企業がAMPを継続している理由があります。それは、モバイルユーザーの体験向上という根本的な価値は変わらないからです。
WordPressでのAMP設定方法【プラグイン編】
公式AMPプラグインのインストール
実際に私がクライアントサイトで最も推奨しているのは、AMPプロジェクト公式サポートページで紹介されているプラグインである「AMP」です。
ステップ1:プラグインのインストール
- WordPressダッシュボードにログイン
- 「プラグイン」→「新規追加」を選択
- 検索欄に「AMP」と入力
- 公式の「AMP」プラグインを「今すぐインストール」
- インストール完了後「有効化」をクリック
テンプレートモードの選択
プラグイン有効化後、WordPressダッシュボード左メニューに「AMP」が追加されます。初期設定で最も重要なのがテンプレートモードの選択です。
3つのテンプレートモード:
標準モード
- 既存テーマをそのままAMP化
- 技術的知識が必要
- 高いカスタマイズ性
リーダーモード(推奨)
- プラグイン側が用意したテンプレート使用
- デザインが崩れないため推奨
- 初心者に最適
移行モード
- 段階的なAMP導入が可能
- 既存サイトへの影響を最小化
私の経験では、初回導入時は必ずリーダーモードを選択することをお勧めします。標準モードは魅力的に見えますが、エラーが多発する可能性が高いためです。
コンテンツタイプの設定
プラグイン設定の「対応テンプレート」では、コンテンツタイプ別に表示させるページが設定できます。
設定項目:
- 投稿ページ:✓(推奨)
- 固定ページ:状況に応じて
- カテゴリページ:△(エラーが起きやすい)
- アーカイブページ:△(エラーが起きやすい)
実際の運用では、まず投稿ページのみでAMPを始めて、問題がないことを確認してから他のページタイプに拡張することが安全です。
AMP設定の検証とエラー対処法
GoogleのAMPテストツールの使用
AMP設定後の検証は必須です。私が愛用しているのは、GoogleのAMPテストツールです。
検証手順:
- AMPテストページにアクセス
- 確認したいページのURLを検索窓に入力
- 「有効なAMPページです」の表示を確認
- 「検索結果をプレビュー」をクリックして実際の検索結果での表示を確認
よくあるエラーと解決方法
私がこれまでに遭遇した代表的なエラーとその解決方法をご紹介します。
画像関連のエラー
エラー内容: <amp-img>
タグにwidth、height属性が未指定
解決方法:
<!-- ❌ 間違った書き方 -->
<amp-img src="image.jpg"></amp-img>
<!-- ✅ 正しい書き方 -->
<amp-img src="image.jpg" width="300" height="200"></amp-img>
CSS関連のエラー
エラー内容: 外部CSSファイルの読み込み
解決方法:
- CSSはstyle amp-customタグ内に記述
- !important修飾子は使用不可
Chrome DevToolsでの高度な検証
より詳細な検証を行いたい場合は、#development=1 を付加したURLでAMPページを表示させ、Chromeのデベロッパーツールを用いてAMP HTMLの有効性を検証する方法があります。
手順:
- AMPページのURLの末尾に
#development=1
を追加 - Chromeのデベロッパーツールを開く(F12キー)
- Consoleタブを確認
- 「AMP validation successful.」の表示を確認
手動でのAMP HTML作成方法
基本的なAMP HTMLテンプレート
プラグインに頼らず、手動でAMP HTMLを作成したい場合のテンプレートをご紹介します。
<!doctype html>
<html amp lang="ja">
<head>
<meta charset="utf-8">
<script async src="https://cdn.ampproject.org/v0.js"></script>
<title>AMPページのタイトル</title>
<link rel="canonical" href="https://example.com/original-page.html">
<meta name="viewport" content="width=device-width,minimum-scale=1,initial-scale=1">
<!-- AMP Boilerplate -->
<style amp-boilerplate>
body{-webkit-animation:-amp-start 8s steps(1,end) 0s 1 normal both;
-moz-animation:-amp-start 8s steps(1,end) 0s 1 normal both;
-ms-animation:-amp-start 8s steps(1,end) 0s 1 normal both;
animation:-amp-start 8s steps(1,end) 0s 1 normal both}
@-webkit-keyframes -amp-start{from{visibility:hidden}to{visibility:visible}}
@-moz-keyframes -amp-start{from{visibility:hidden}to{visibility:visible}}
@-ms-keyframes -amp-start{from{visibility:hidden}to{visibility:visible}}
@-o-keyframes -amp-start{from{visibility:hidden}to{visibility:visible}}
@keyframes -amp-start{from{visibility:hidden}to{visibility:visible}}
</style>
<noscript>
<style amp-boilerplate>
body{-webkit-animation:none;-moz-animation:none;-ms-animation:none;animation:none}
</style>
</noscript>
<!-- カスタムCSS -->
<style amp-custom>
body { font-family: Arial, sans-serif; }
h1 { color: #333; }
</style>
</head>
<body>
<h1>AMP対応ページ</h1>
<amp-img src="image.jpg" width="300" height="200" alt="説明"></amp-img>
</body>
</html>
HTMLタグの置き換えルール
AMP で使用される HTML は、通常の HTML と少し異なります。主な置き換えルールは以下の通りです:
必須の置き換え:
<img>
→<amp-img>
<video>
→<amp-video>
<audio>
→<amp-audio>
<iframe>
→<amp-iframe>
使用禁止タグ:
<base>
,<picture>
,<frame>
,<frameset>
,<object>
,<param>
,<applet>
,<embed>
構造化データの実装
基本的な構造化データ
AMP HTMLの構造化データは必須条件から外れ、任意に変更されましたが、検索結果での表示最適化のためには実装を推奨します。
BlogPostingの例:
{
"@context": "http://schema.org",
"@type": "BlogPosting",
"headline": "記事のタイトル",
"image": ["https://example.com/image.jpg"],
"datePublished": "2025-06-24T10:00:00+09:00",
"dateModified": "2025-06-24T12:00:00+09:00",
"author": {
"@type": "Person",
"name": "著者名"
},
"publisher": {
"@type": "Organization",
"name": "サイト名",
"logo": {
"@type": "ImageObject",
"url": "https://example.com/logo.jpg"
}
}
}
AMP設定時の注意点とトラブルシューティング
広告表示の対応
AMPでの広告表示には特別な対応が必要です。利用する広告においても対応していないケースがあるため、自分のWebサイトがAMPを活用できるのかを見極めなければいけません。
対応手順:
- 使用している広告プラットフォームのAMP対応状況を確認
- 必要に応じてamp-adコンポーネントを実装
- 広告表示のテストを実施
Googleアナリティクスの設定
AMPページでのアクセス解析には、専用の設定が必要です。Googleアナリティクスの解析においてはamp-analyticsの設定をする必要があります。
よくある失敗パターンと対策
私の経験から、以下のような失敗パターンがよく見られます:
- 一度に全ページをAMP化する
- 対策:段階的な導入を心がける
- エラーを放置する
- 対策:定期的な検証とメンテナンス
- デザインを重視しすぎる
- 対策:機能性を優先し、段階的に改善
AMP設定後のメンテナンスと最適化
定期的な検証の重要性
AMP設定は一度行えば終わりではありません。急激に増える場合は、直前のサイト内のプラグイン変更やAMP非対応のカスタマイズが原因となることが多いため、定期的な検証が必要です。
月次チェック項目:
- Search ConsoleのAMPステータス確認
- AMPテストツールでの再検証
- 表示速度の測定
- エラーログの確認
パフォーマンスの監視
AMPの真価は表示速度の向上にあります。以下のツールで定期的にパフォーマンスを監視しましょう:
- PageSpeed Insights
- Core Web Vitals
- Search Console のページエクスペリエンス
まとめ:成功するAMP設定のポイント
私がこれまでの経験で学んだ、成功するAMP設定のポイントをまとめます:
段階的なアプローチ いきなり全ページをAMP化せず、重要な投稿ページから開始し、安定してから範囲を拡大する
継続的なメンテナンス 設定後も定期的な検証とエラー対応を怠らない
ユーザーファーストの思考 技術的な完璧さよりも、ユーザーの利便性を最優先に考える
現実的な期待値 AMPは万能ではなく、サイトの性質によって効果は異なることを理解する
AMP設定は確かに技術的な挑戦ですが、正しい手順で進めれば必ず成果を得られます。特に、モバイル端末からのアクセスが多いWordPressサイトならとくに、AMPの導入による表示速度の違いを大きく実感できるはずです。
最初は小さな一歩から始めて、徐々に最適化を進めていくことで、ユーザーにとって価値のある高速なWebサイトを実現できるでしょう。
