Web担当者やサイト運営者にとって欠かせないツールとなったGoogle Analytics 4(以下、GA4)。これからアクセス解析を始める初心者の方から、ユニバーサルアナリティクスからの移行を検討している方まで、誰もが簡単に設定できるように、基本から応用までをわかりやすく解説します。
Google Analytics 4(GA4)とは?基本概念と特徴
GA4は、Googleが提供する無料のウェブ解析ツールの最新バージョンです。従来のユニバーサルアナリティクス(UA)とは大きく異なる設計思想を持ち、より柔軟かつ高度な分析が可能になっています。
GA4の主な特徴
- イベント中心の測定モデル: ページビューだけでなく、ユーザーの様々な行動(クリック、スクロール、動画視聴など)をイベントとして柔軟に計測できます。
- 機械学習の活用: 予測分析や自動インサイトの提供など、AIを活用した分析機能が充実しています。
- プライバシー重視の設計: Cookieに依存しない測定方法を採用し、プライバシー規制が厳しくなる未来にも対応します。
- クロスプラットフォーム分析: Webとアプリのデータを一元管理し、ユーザージャーニー全体を把握できます。
- より直感的なレポート: カスタマイズ性の高いレポートと、実用的なデフォルトレポートが用意されています。
UAとGA4の主な違い
項目 | ユニバーサルアナリティクス | Google Analytics 4 |
---|---|---|
測定モデル | セッションベース | イベントベース |
データ構造 | ビュー>プロパティ>アカウント | データストリーム>プロパティ>アカウント |
デフォルトの保持期間 | 26ヶ月 | 14ヶ月(ただし拡張可能) |
カスタマイズ | カスタムディメンション、メトリクス | イベントパラメータ |
コンバージョン計測 | 目標設定 | コンバージョンイベント指定 |
2023年7月にUAのサポート終了が発表されていることから、新規サイトはもちろん、既存サイトもGA4への移行が必須となっています。
GA4を設定する前に知っておくべきこと
GA4の設定に入る前に、いくつか準備しておくべきことがあります。
必要な前提知識
- Googleアカウント: GA4を利用するにはGoogleアカウントが必要です。ビジネスでの利用なら、個人用ではなく組織用のアカウントを使用することをお勧めします。
- 計測する目的の明確化: 何をどのように計測したいのか、事前に目標を明確にしておくと設定がスムーズになります。
- 計測するサイトの情報: ドメイン名、サイト名、業種などの基本情報を準備しておきましょう。
- アクセス権限: 計測するサイトの管理者権限があることを確認しておきましょう。
GA4のアカウント構造を理解する
GA4では以下の階層構造でデータが管理されています:
- アカウント: 最上位の管理単位。複数のプロパティをまとめて管理できます。企業単位やクライアント単位で作成するのが一般的です。
- プロパティ: 計測する対象(Webサイトやアプリ)を管理する単位。サイト単位で作成します。
- データストリーム: データの流入経路を示します。Webサイト用、iOS用、Android用の3種類があります。
適切なアカウント構造の設計は、後々のデータ分析や管理のしやすさに大きく影響します。
計測目標を設定する
GA4で何を計測したいのかを事前に明確にしておくことで、設定の方向性が決まります。例えば:
- eコマースサイト: 商品閲覧、カート追加、購入完了などの購買プロセス
- メディアサイト: 記事閲覧、滞在時間、リピート率など
- コーポレートサイト: お問い合わせ送信、資料ダウンロードなど
これらの目標に応じた設定を行うことで、効果的な分析が可能になります。
GA4のアカウント作成とプロパティ設定(図解付き手順)
それでは実際にGA4のアカウントを作成し、基本的な設定を行っていきましょう。
ステップ1: GA4にアクセスする
- Google Analytics公式サイトにアクセスします。
- 右上の「測定を開始」もしくは「管理者」をクリックします。
ステップ2: アカウントを作成する
- 「アカウントを作成」をクリックします。
- アカウント名を入力します(例: 会社名や組織名)。
- アカウントデータ共有設定を必要に応じて調整します。
- 「Googleのプロダクトとサービス」は基本的にオンにしておくことをお勧めします。
- 「技術サポート」や「アカウントスペシャリスト」もサポートを受けるためにオンにしておくと便利です。
- 「次へ」をクリックします。
ステップ3: プロパティを設定する
- プロパティ名を入力します(例: サイト名)。
- 「詳細オプションを表示」をクリックします。
- 「ユニバーサルアナリティクス プロパティの作成」はオフのままにします(特別な理由がない限り)。
- レポートのタイムゾーンを「日本」に設定します。
- 通貨を「日本円(JPY)」に設定します。
- 「次へ」をクリックします。
ステップ4: ビジネス情報を入力する
- 業種を選択します(例: 「小売業」「メディアとパブリッシング」など)。
- ビジネスの規模を選択します。
- 「作成」をクリックします。
ステップ5: データ収集の目的を設定する
- 「ウェブサイトの測定」を選択します(アプリを計測する場合は「iOS App」または「Android App」を選択)。
- 「次へ」をクリックします。
ステップ6: データストリームを設定する
- ウェブサイトのURLを入力します(例: https://example.com)。
- プロトコル(httpまたはhttps)を含めて正確に入力してください。
- ストリーム名を入力します(通常はサイト名と同じで構いません)。
- 「ストリームを作成」をクリックします。
これでGA4のアカウント、プロパティ、データストリームの基本設定が完了しました。次に、作成したデータストリームの詳細画面で、トラッキングコードを取得します。
Webサイトへのトラッキングコード設置方法
GA4でデータを収集するには、Webサイトにトラッキングコードを設置する必要があります。主な設置方法を紹介します。
トラッキングコードの取得方法
- データストリームの詳細画面で「タグの設置手順」または「測定ID」をクリックします。
- 「新しい オンページ タグ」を選択します。
- 表示されるコードをコピーします。このコードには測定ID(G-XXXXXXXXXX形式)が含まれています。
直接HTMLに埋め込む方法
- コピーしたトラッキングコード(Googleタグ)をWebサイトの全ページの
<head>
タグ内に貼り付けます。 - サイトのテンプレートやヘッダーファイルを編集できる場合は、そこに設置すると効率的です。
<!-- Google tag (gtag.js) -->
<script async src="https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=G-XXXXXXXXXX"></script>
<script>
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
function gtag(){dataLayer.push(arguments);}
gtag('js', new Date());
gtag('config', 'G-XXXXXXXXXX');
</script>
Google Tag Managerを使用する方法(推奨)
より柔軟なタグ管理が必要な場合は、Google Tag Manager(GTM)の使用をお勧めします。
- Google Tag Managerにアクセスしてアカウントとコンテナを作成します。
- GTMのコンテナタグをサイトに設置します。
- GTM内でGA4設定タグを作成します:
- 「タグ」→「新規」→「Googleアナリティクス: GA4設定」を選択
- 測定IDを入力
- トリガーを「All Pages」に設定
- 保存して公開
GTMを使用すると、将来的に追加のイベントトラッキングやコンバージョントラッキングの設定が容易になります。
コードの設置確認
トラッキングコードの設置が完了したら、正しく動作しているか確認します:
- GA4の「リアルタイム」レポートにアクセスします。
- 自分でサイトを訪問してみて、リアルタイムレポートにアクセスが表示されるか確認します。
- 表示されない場合は、以下を確認してください:
- コードが正しく設置されているか
- サイトのキャッシュをクリアしたか
- アドブロッカーなどの拡張機能を無効にしているか
WordPressサイトでのGA4設定方法(プラグイン活用)
WordPressを使用している場合、プラグインを利用することでコードを直接編集せずにGA4を設定できます。
おすすめのWordPressプラグイン
- Google Site Kit(Googleの公式プラグイン)
- Google製のため信頼性が高い
- Search ConsoleやGoogle AdSenseなど他のGoogleサービスとの連携も簡単
- 設定が非常にシンプル
- MonsterInsights
- 直感的なインターフェースで設定が簡単
- 基本的な機能は無料、高度な機能は有料プランで提供
- eコマース機能やフォーム追跡などの拡張機能も充実
- GA Google Analytics
- シンプルで軽量なプラグイン
- 基本的なGA4設定に特化
- 余計な機能がなく、サイト速度への影響が少ない
Google Site Kitの設定手順
最も簡単かつ公式なプラグインであるGoogle Site Kitを使った設定手順を紹介します:
- WordPressの管理画面から「プラグイン」→「新規追加」をクリックします。
- 検索欄に「Google Site Kit」と入力して検索します。
- 「今すぐインストール」→「有効化」をクリックします。
- 画面上部に表示される「Site Kitを設定」をクリックします。
- Google アカウントでログインし、必要な権限を許可します。
- サイトの所有権を確認します(Search Consoleとの連携が必要)。
- 「Analyticsの設定」でGA4を選択します。
- 既存のGA4プロパティがある場合は選択し、ない場合は新規作成します。
- 設定完了後、WordPressのダッシュボードでアナリティクスデータを確認できるようになります。
プラグインでの注意点
- プラグインが最新のGA4仕様に対応しているか確認してください。
- 複数のアナリティクスプラグインを同時に使用すると、重複してトラッキングコードが挿入される可能性があります。
- プラグインのアップデートを定期的に行い、最新の機能や修正を適用しましょう。
GA4の基本設定項目と推奨設定
GA4のアカウントとトラッキングコードの設置が完了したら、より効果的な分析のために以下の基本設定を行いましょう。
データ保持期間の設定
デフォルトでは、ユーザーとイベントデータの保持期間は14ヶ月に設定されています。より長期的な分析をする場合は延長しましょう。
- 管理ページに移動します。
- 「データ設定」→「データ保持」をクリックします。
- 「イベントデータの保持期間」を「14ヶ月」から「50ヶ月」に変更します。
- 「保存」をクリックします。
内部トラフィックの除外
自社スタッフのアクセスを除外することで、より正確なデータ分析が可能になります。
- 管理ページから「データストリーム」をクリックします。
- 設定したデータストリームをクリックします。
- 「トラフィックの設定」の「内部トラフィックの定義」をクリックします。
- 「作成」をクリックし、名前(例: 「社内トラフィック」)を入力します。
- 条件として「IPアドレス」を選択し、社内のIPアドレスを入力します。
- 「作成」をクリックして保存します。
拡張測定の設定
GA4では「拡張測定」機能により、追加のコードなしで様々なユーザーアクションを自動的に計測できます。
- データストリームの設定画面で「拡張測定」を確認します。
- デフォルトではオンになっていますが、必要に応じて個別の測定項目(スクロール、外部リンクのクリック、サイト内検索など)を調整できます。
ユーザープロパティの設定
ユーザーの属性情報を定義することで、セグメント分析が可能になります。
- 管理画面から「カスタム定義」→「ユーザープロパティ」に移動します。
- 「ユーザープロパティを作成」をクリックします。
- ユーザープロパティ名(例: 「会員タイプ」)とスコープを設定します。
- 「保存」をクリックします。
Googleシグナルの有効化
クロスデバイスでのユーザー行動を把握するには、Googleシグナルを有効にします。
- 管理画面から「データ設定」→「データ収集」をクリックします。
- 「Googleシグナル」を有効にします。
これにより、Googleアカウントにログインしているユーザーの行動をデバイスを跨いで分析できるようになります。
重要なイベント設定とカスタマイズ方法
GA4はイベントベースの測定モデルを採用しているため、サイト上の重要なユーザーアクションをイベントとして設定することが重要です。
GA4の自動収集イベント
GA4では以下のイベントが自動的に収集されます:
- first_visit: ユーザーの初回訪問
- session_start: セッション開始
- page_view: ページ閲覧
- user_engagement: ユーザーエンゲージメント(15秒以上のアクティブな滞在)
拡張測定イベント
拡張測定を有効にすると、以下のイベントも自動的に収集されます:
- scroll: ページの90%までスクロール
- click: 外部リンクのクリック
- view_search_results: サイト内検索結果の表示
- video_*: 動画の再生、一時停止など
- file_download: ファイルのダウンロード
カスタムイベントの設定
サイト固有の重要なアクションはカスタムイベントとして設定します:
Google Tag Managerを使った設定(推奨)
- GTMでタグを新規作成します。
- タグタイプとして「Googleアナリティクス: GA4イベント」を選択します。
- イベント名とパラメータを設定します。
- 適切なトリガーを設定します(例: 特定のボタンクリック)。
- 保存して公開します。
直接コードを使った設定
gtag('event', 'イベント名', {
'パラメータ名': 'パラメータ値'
});
重要なイベントをコンバージョンに設定
ビジネス目標に直結するイベントはコンバージョンとして設定します:
- 「イベント」画面で、コンバージョンに設定したいイベントを見つけます。
- イベント名の横にある「マーク」列のスイッチをオンにします。
または、カスタムコンバージョンを新規作成する場合:
- 管理画面から「イベント」→「コンバージョン」に移動します。
- 「新しいコンバージョンイベント」をクリックします。
- イベント名を入力して「保存」をクリックします。
eコマースの設定
オンラインショップの場合、eコマース機能を活用してより詳細な購買分析が可能になります:
- データストリーム設定で「拡張eコマース測定を有効にする」をオンにします。
- 以下のようなコードをチェックアウトプロセスに実装します:
gtag('event', 'purchase', {
transaction_id: '注文ID',
value: 10000,
currency: 'JPY',
items: [
{
item_id: '商品ID',
item_name: '商品名',
price: 5000,
quantity: 2
}
]
});
GA4での基本的なレポートの見方と活用法
GA4では、直感的なインターフェースでデータを簡単に確認できます。基本的なレポートの見方と活用法を解説します。
レポートのナビゲーション
GA4のレポートは左側のナビゲーションメニューから以下のカテゴリにアクセスできます:
- リアルタイム: 現在サイトを訪れているユーザーの情報をリアルタイムで確認できます。トラッキングコードの設置確認にも役立ちます。
- ライフサイクル: 集客、エンゲージメント、収益化、定着に関するレポートが含まれています。
- ユーザー: ユーザー属性やユーザーパスなど、訪問者に関する詳しい情報を確認できます。
- イベント: サイト上で発生したイベントの詳細を確認できます。
- 探索: カスタマイズ可能な詳細な分析ツールです。複雑なクエリも作成可能です。
主要レポートとその活用法
1. ホームダッシュボード
GA4にログインした最初の画面がホームダッシュボードです。ここでは以下の情報が一目でわかります:
- ユーザー数、新規ユーザー数、平均エンゲージメント時間などの主要指標
- 最近のレポートと分析情報
- リアルタイムユーザー数
活用法:日々のサイト概況を素早く把握するのに最適です。特に注目すべき変化がないか確認しましょう。
2. リアルタイムレポート
現在サイトを訪れているユーザーの行動をリアルタイムで把握できます。
- 現在のアクティブユーザー数
- 過去30分間のページビューとイベント
- ユーザーの地域、参照元など
活用法:新規コンテンツ公開直後の反応確認や、キャンペーン開始時の即時効果測定などに役立ちます。
3. 集客レポート
ユーザーがどこからサイトに訪れたかを詳細に分析できます。
- チャネル別(オーガニック検索、直接、参照、ソーシャルなど)の訪問者数
- キャンペーン効果の測定
- 検索キーワード(Googleサーチコンソールと連携した場合)
活用法:効果的な流入経路を特定し、マーケティング施策の最適化に役立てましょう。
4. エンゲージメントレポート
サイト内でのユーザー行動を詳細に分析できます。
- ページとスクリーン:最も人気のあるページ
- イベント:最も頻繁に発生するユーザーアクション
- コンバージョン:設定したコンバージョンの達成状況
活用法:人気コンテンツの特定やユーザー行動パターンの分析に活用しましょう。
5. 収益化レポート(eコマースサイト向け)
eコマース機能を設定している場合、購買活動の詳細を分析できます。
- 商品の売上パフォーマンス
- 購入数、収益、平均注文額
- 購買フローの分析
活用法:売れ筋商品の把握や顧客購買パターンの分析に役立てましょう。
レポートのカスタマイズ
GA4では、自分のニーズに合わせたカスタムレポートを作成できます:
- 「レポート」タブから「ライブラリ」をクリックします。
- 「カスタムレポートを作成」をクリックします。
- レポート名を入力し、必要な指標とディメンションを選択します。
- フィルタや表示設定を調整します。
- 「保存」をクリックして完了です。
探索レポートの活用
より高度な分析には、「探索」機能を活用しましょう:
- 左側のナビゲーションから「探索」をクリックします。
- テンプレートを選択するか、新規に作成します。
- 自由にディメンションと指標をドラッグ&ドロップで配置します。
- セグメントを作成して特定のユーザーグループを分析します。
探索レポートでは、以下のような高度な分析が可能です:
- パスエクスプローラーでユーザーの移動経路を視覚化
- フリーフォーム分析で自由に指標とディメンションを組み合わせ
- ファネル分析でコンバージョンプロセスの離脱ポイントを特定
- セグメント比較で異なるユーザーグループの行動を比較
よくある設定ミスと解決方法
GA4を設定する際によくある問題とその解決方法を紹介します。
1. トラッキングコードが正しく動作していない
症状: リアルタイムレポートにデータが表示されない
解決方法:
- ブラウザの開発者ツールでコンソールエラーがないか確認する
- トラッキングコードが
<head>
タグ内に正しく配置されているか確認する - サイトのキャッシュをクリアする
- GTMを使用している場合はプレビューモードで動作確認をする
2. 内部トラフィックが混入している
症状: 自社スタッフのアクセスがデータに含まれている
解決方法:
- 内部IPアドレスを除外する設定を行う
- 社内からのアクセス時にはデバッグクッキーを使用する
- Google Chrome拡張機能「Google Analytics Opt-out Add-on」を社内で使用する
3. クロスドメイントラッキングが設定されていない
症状: 複数のドメインにまたがるユーザージャーニーが追跡できない
解決方法:
- データストリーム設定で「ドメイン間測定の構成」をクリックする
- 関連するすべてのドメインを追加する
- 測定IDのコンフィグ設定で
allow_google_signals: true
を追加する
gtag('config', 'G-XXXXXXXXXX', {
'allow_google_signals': true
});
4. イベントがコンバージョンとして認識されていない
症状: 設定したイベントがコンバージョンレポートに表示されない
解決方法:
- イベント設定が正しく行われているか確認する
- イベントがコンバージョンとしてマークされているか確認する
- データ収集から表示まで最大24時間かかる場合があることを理解する
- テスト用のイベントを発火させて確認する
5. eコマースデータが正しく計測されない
症状: 購入データや商品データが正しく記録されない
解決方法:
- eコマース設定が有効になっているか確認する
- イベントパラメータが正しい形式で送信されているか確認する
- GTMのデバッグモードで適切なデータが送信されているか検証する
- すべての必須パラメータ(transaction_id, valueなど)が含まれているか確認する
6. データサンプリングの問題
症状: 大量のデータがある場合にレポートが不正確になる
解決方法:
- 日付範囲を短くして分析する
- 探索レポートでサンプリングを避けるため、より具体的なフィルタを使用する
- BigQueryエクスポートを設定して生データにアクセスする(有料)
7. 古いUA(ユニバーサルアナリティクス)とGA4の両方が動作している
症状: データが重複して計測される
解決方法:
- 移行が完了したら、古いUAのタグを削除する
- 両方のタグを並行して使用する必要がある場合は、それぞれ別のレポートで分析する
- GTMを使用している場合は、タグのトリガー条件を確認する
ユニバーサルアナリティクス(UA)からGA4への移行ポイント
既存のUAからGA4への移行を検討している場合、以下のポイントに注意して進めましょう。
移行の基本ステップ
- 並行運用期間を設ける: すぐにUAを停止せず、まずはGA4と並行して運用することで、データの比較や設定の確認が可能になります。
- 主要指標の違いを理解する: UAとGA4では以下のような指標の定義が異なります。
- UAの「ユーザー」と「セッション」→GA4の「アクティブユーザー」と「セッション開始」
- UAの「直帰率」→GA4の「エンゲージメント率」
- UAの「目標」→GA4の「コンバージョン」
- データポータビリティの限界を認識する: UAからGA4への履歴データの完全な移行はできません。必要なヒストリカルデータは、CSV出力やサードパーティツールでバックアップしておきましょう。
- GA4の新機能を活用する: イベントベースの測定モデル、予測分析、探索レポートなど、GA4ならではの新機能を積極的に活用しましょう。
設定の見直しポイント
- 目標とコンバージョンの再設定: UAの目標設定はGA4には引き継がれません。コンバージョンとして再設定が必要です。
- カスタムディメンションとメトリクスの再構築: GA4ではイベントパラメータとして再設定する必要があります。
- フィルタの再設定: UAのビューレベルのフィルタはGA4では違う形で設定します。
- eコマース設定の見直し: eコマース機能を使用している場合、GA4用に再設定する必要があります。
移行後のチェックポイント
- 主要なページビューが正しく計測されているか
- 重要なイベントがすべて計測されているか
- コンバージョンが正しく記録されているか
- セグメント分析が期待通りに機能しているか
- レポートが適切にカスタマイズされているか
参考リソース
まとめ:初心者でも始められるGA4設定のポイント
Google Analytics 4(GA4)の設定は、正しい手順さえ押さえれば初心者でも十分に行えます。本記事で解説した内容を実践すれば、ウェブサイトの分析基盤を整えることができるでしょう。
GA4導入の主要ステップおさらい
- GA4アカウントとプロパティの作成: Googleアカウントを使って、GA4のアカウントとプロパティを設定します。
- データストリームの設定: ウェブサイトのURLを登録し、測定IDを取得します。
- トラッキングコードの設置: 直接タグを埋め込むか、Google Tag Managerを使用して設置します。WordPressの場合はプラグインも活用できます。
- 基本設定の最適化: データ保持期間の延長や内部トラフィックの除外など、基本設定を最適化します。
- イベントとコンバージョンの設定: サイト目標に沿ったイベントを設定し、重要なものはコンバージョンとしてマークします。
- レポートの活用: 収集したデータを効果的に分析し、サイト改善に役立てます。
効果的なデータ分析のためのヒント
- 明確な目標設定: 何のためにデータを計測するのか、ビジネス目標を明確にしましょう。
- 定期的な分析: 週次・月次など定期的にデータをチェックし、トレンドを把握しましょう。
- アクションにつなげる: データの分析結果を具体的な改善アクションにつなげることが重要です。
- 継続的な学習: GA4は機能が豊富で常に進化しています。定期的に新機能や活用法をチェックしましょう。
Google Analytics 4は、適切に設定して活用することで、ウェブサイトの改善やビジネス成長に大きく貢献するツールです。本記事を参考に、ぜひGA4の設定を進めてみてください。わからないことがあれば、Googleの公式ヘルプや、GA4に関するコミュニティも活用しながら、少しずつ使いこなしていきましょう。
